骨組み(軸組)⑤ 小屋組み編

軸組凡例図

小屋組み

今回は屋根の下地となる、小屋組みに関して書いていきたいと思います。

上の図だけだと少しわかりにくいので、実際の組み上がった状態の写真を参考にします。

小屋組み詳細写真

実際に組み上がるとこんな感じになっています。

下から名称毎に説明をすると

  • 【軒桁】は屋根を支える梁の外周部分を指します。
  • 【小屋梁】は軒桁に架かる中側の梁を指します。
  • 【小屋火打】(こやひうち)は軒桁の高さの水平剛性を確保する為の部材で、筋違と同じような働きを持ちます。
  • 【小屋束】(こやづか)は母屋を支える事と、母屋の高さを決める、強いては屋根勾配を決める部材となります。
  • 【母屋】(もや)は垂木を支える部材となります。
  • 【棟】(むね)又は【棟木】(むなぎ)と呼ばれ、軸組の一番上に架かる横架材となります。
  • 【垂木】(たるき)は軒桁・母屋・棟に乗る、屋根の下地となる部材となります。この上に野地板(のじいた)を貼っていきます。

上棟

ちなみに、上棟とは最後にこの棟が入り建方が決まった事を指します。

上棟式は、この棟が入り一つの山場が終わった事のお祝いと、今後この建物に住まう人の繁栄と工事の安全を祈念したものとなります。

御餅や御捻りを撒いたりというのは有名ですよね。(私は経験がありませんが・・・)

かすがい

通常、小屋組みに使用する部材同士はかすがいで固定をしていきます。

かすがい使用写真

小屋梁と小屋束、小屋束と母屋・棟の全ての接点をかすがいで固定をしていきます。

かすがいは片側だけではなく、両面で固定をする事が基本となります。

構造計算でプレート形の金物が必要とならない限り、この方法をとります。

実際にかすがいが付いた状態の束を外そうとしても、簡単には外すことが出来ず、見た目以上にしっかりと固定ができる物です。

ひねり金物

軒桁と垂木の接点には、下から吹き上げる強風対策で必ず金物を設置していきます。

一般的なのはひねり金物と呼ばれる金物で、直交方向に架かる材料同士を接合するために、

名前の通り90度ひねった金物を使用します。

ひねり金物とかすがい
かすがい・ひねり金物・ZN釘

このひねり金物の固定には、前回の釘の種類とは別のZN釘を使用します。

ZN釘は木造で使用する釘の中で、一番太い釘となります。

ひねり金物は、垂木の大きさでサイズを変えるのですが、上記の物は2つ穴の短いタイプとなります。

長いものは3つ穴になったりします。

2つ穴と3つ穴の使用した写真が以下になります。

2つ穴のひねり金物写真
2つ穴ひねり金物
3つ穴のひねり金物写真
3つ穴ひねり金物

学生時代の恩師の話で、恩師が設計した建物で台風の日に屋根が飛ばされてしまったという話を聞いたことがあり、

ひねり金物で固定をする等、出来る事はしっかりとしてあげないといけないなと感じております。

軒の深い建物はより注意する必要がありますね!

タルキック

現在は釘を使わず、ビス留めの金物も多種ありますが、余程指定が無い限り使わないですね。

逆に最近多く使用するようになったのは、垂木の天端から母屋・桁に長いビスで留める方法となります。

商品名となりますが、タルキックと呼ばれる専用ビスになります。

タルキック
ひねり金物同等のタルキック

ひねり金物と同等性能を持つ事が当然必要となりますが、試験機関でしっかりと検査をした製品ですので安心です。

ただし、垂木のサイズ毎にビスの長さが変わりますので、対応している長さの物を調べて使用する点だけ注意が必要となります。

使用した感じは以下の写真な感じです。(ちょっとピンボケしてしまいました)

タルキック使用写真
タルキック使用の写真

木造住宅の場合、建方工事の日が一番職人の人数が多い日になります。

実際の建方の際に、垂木を並べ、野地板が貼れればかなり順調にいったケースとなりますが、

まぁ垂木が並べられれば十分ではあります。

逆に垂木まで並べられないと、単純に建物が大きかったや順調にいかなかった感じですね。

以上、グロウクラフトでした。