雨漏りについて② バルコニーから
今回はバルコニーからの雨漏りについて書いていきたいと思います。
その前にバルコニーに施す【防水工事】について簡単に説明します。
防水工事とは
読んで字のごとく、雨など外部の水が建物内部に侵入・透過しないよう
にする為の物理的な措置の事で、建物の主要機能の一つとなります。
防水工事の種類
メンブレン防水
躯体表面に薄い膜(シート)を張り付けた防水の事で、
![アスファルト防水](https://growcraft.jp/wp-content/uploads/2022/07/93c0b1b538dae35c49be31035032149e-1024x818.jpg)
![ウレタン防水](https://growcraft.jp/wp-content/uploads/2022/07/83fad606c6f516ae2cf5626d6b0b15be-1024x818.jpg)
- アスファルト防水・改質アスファルトシート防水
- ウレタン系防水
- シート防水
- FRP防水
- ステンレス防水
- 塗布防水
等の種類があります。
バルコニー・ルーフバルコニー等で見える防水の大部分がこちらに属します。
シーリング防水(目地防水)
シーリング剤(コーキング剤)で目地などの隙間を埋める防水の事で、
![打ち継ぎシール](https://growcraft.jp/wp-content/uploads/2022/07/69a4177c36a99b819415bb3157540554-1024x681.jpg)
- ALC・サイディングパネルの継目
- 躯体とサッシの接合部
- RCの各種目地部分
- その他取合い部分
に施します。
モルタル防水・コンクリート改質防水
躯体表面に防水材を混入したモルタルを塗布する防水。
コンクリート改質剤を塗布又は混入し、コンクリート自体に防水性能を持たす防水。
バルコニー防水
木造住宅のバルコニーの場合、使用される防水はFRP防水が圧倒的に多い感じがします。
その他では、シート防水・ウレタン防水・ステンレス防水を見かける事があります。
ウレタン防水は一昔前は木造には適さないと言われていましたが、メーカーが改良をした事で使用されるケースが増えてきました。
かなり簡単ですがこんな感じになり、それぞれの状況に合わせて適切な物を選択して施工します。
バルコニーからの雨漏り
それでは本題のバルコニーからの雨漏りに関して、
防水の仕様はFRP防水をメインに書いていきたいと思います。
バルコニーからの雨漏りの発生箇所として、
- 防水面の平場・立上り・ドブ溝
- バルコニードレン(排水口)周り
- 笠木端部の壁取合い・笠木同士のジョイント
等が挙げられます。
当然一棟一棟違うので、状況に合わせて可能性が高そうな部分をチェックします。
では1~5まで細かく説明をしていきます。
1 防水面の平場・立上り・ドブ溝の状態
![FRP素地の写真](https://growcraft.jp/wp-content/uploads/2022/07/bea8bb2966c32d40cdde2382b0aa4a2e-1024x818.jpg)
![FRP防水の写真](https://growcraft.jp/wp-content/uploads/2022/07/03ecabee481d3cba4202ed4b97e39945-1024x818.jpg)
まず防水ですが、防水層とトップコートに大きく分かれます。
防水層の紫外線劣化を防ぐ目的で、トップコート(保護層)が上塗りされています。
このトップコートが劣化すると剝れやチヂレが発生してきますので、この有無を確認します。
南に面したバルコニーは日当たりが良くなりますので、劣化の進行が速い場合があります。
その次に立上りやドブ溝との取合いの角部分(入隅・出隅)のヒビ割れなどを確認します。
平場にも共通する事ですが、建物の動きが大きく、揺れやすい場合は割れが出る事があります。
バルコニーでよくあるパターンで、防水面にタイルやシートを上張りしているケースがあります。
ウッドデッキ等の取外しができる物であれば、外してチェックする事ができますが、
直接張られているものに関しましては、目視できずその下で何が起きているかわかりません。
紫外線劣化に対しては抜群の効果を示しますが、何か問題が発生した場合は結構厄介です。
原因が防水面の場合は壊すか、上から新たに防水を施す必要があります。
バルコニードレン(排水口)周り
ヨコ抜き方式の排水に関して、
ドレン自体でバルコニー外の排水マスに突き出せない位に壁厚が厚い場合、
排水口のドレーンが塩ビパイプとジョイントされているケースがあります。
通常、塩ビパイプがドレンに差し込まれているので、順番通りなら問題が余りないのですが、
そのジョイント部分の接続部分の不良が原因で雨漏りする場合があります。
![FRPドレンと塩ビのジョイント](https://growcraft.jp/wp-content/uploads/2022/07/a7f64a72d1bdefed08ce14ae35bcafa0-1024x818.jpg)
その他、バルコニーに植木鉢を置いたりし、殺風景な雰囲気を和らげる場合があります。
しかし何かの拍子に土が流れ出てしまう事があります。
それ以外にもバルコニーは風や日常の洗濯物干し等でゴミが舞い込みやすい傾向があります。
そこに土が絡むと膜状の堆積物になっていきます。
これがなかなか困ったもので、排水口に蓋をした感じになってしまう事があります。
そうすると排水不良が発生し、バルコニーがプールになって雨漏りが発生する場合があります。
ですのでバルコニー内の清掃は定期的に行うようにする事が重要です。
笠木端部の壁取合い・笠木同士のジョイント
![](https://growcraft.jp/wp-content/uploads/2022/07/96b0a02c42a13ef4f693a0fc46ecaca8-1024x682.jpg)
住宅の場合、笠木の種類は板金かアルミに大別され、
前回書いた壁の二次防水のフェルトやタイベックをカバーするものとなります。
取合のいり込んだ部分ですので、ピンホールによる漏水のケースがあります。
何れにしても、二次防水で補強をする事が大前提となりますが、
アルミ笠木の場合は固定金具のビス穴のシールや、端部壁取合いのシール処理が重要となります。
板金の場合は立上りを設け防水テープで補強し、折下げ部分に返しを設ける事などが重要になります。
アルミ笠木の場合は、適切なジョイント材を使用する事、若しくはシールにて接合する事。
小口の接着面が小さい場合などはブリッジにてシールをします。
板金の場合は、当然重ねてジョイントしますが、下の板金に捨てシールをしてから重ね、
ジョイント部分にシールをする事が重要となります。
アルミの場合はありませんが、板金の場合は脳天から釘を打つ事は絶対に避けなければいけませんし、
そもそもそういう納まりは適正とはいえません。
釘で留めるのはあくまで側面のみという事になります。
まとめ
バルコニーに関して書いてきましたが、実際に住まわれる方ができる事は、
掃除を定期的に行う事位となります。
ただ、掃除をする事で異常に気づくことがあります。
ですので面倒でも定期的に清掃する事をお勧めします。
以上、グロウクラフト 片倉でした。
次は残りの窓からに関して書いていきたいと思います。