雨漏りについて① 屋根・外壁から

今回はこれからの梅雨や台風で大きく影響を受ける、雨漏りに関して書こうと思います。

雨漏り箇所は【屋根】【外壁】【バルコニー】【窓】が主な個所となります。

そのうち、屋根・外壁は造りが似ている事から、今回の内容としたいと思います。

雨漏り

雨漏りの写真

雨漏りは建物の屋根や壁、窓などから、雨水が建物内部に侵入する事をいいます。

住まう人を考えれば、当然看過できるものではありません。

実際に生活している人の不便さや不快さ、建物自体の劣化が著しい速さで進行する事等、全てにおいて良い事はありません。

建築基準法 第1条の生命・健康及び財産の保護を図りの内容からも外れてしまう事となります。

どうして雨漏りするの?

まず建物の屋根や外壁等はどうなっているのかを知る必要があります。

建物には、1次防水と2次防水というものがあります。

1次防水とは

建物の一番外側にある防水面の事で、屋根材(瓦・板金・コロニアル)や外壁材(外壁塗装・サイディング等)の事を指します。

2次防水とは

建物骨組みや外部下地に貼る防水材を指し、屋根であればアスファルトルーフィングに類するもの、

アスファルトルーフィングの写真
アスファルトルーフィング

外壁であればアスファルトフェルトやタイベックに代表される透湿防水シートを指します。

アスファルトフェルトの写真
アスファルトフェルト
タイベック ハウスラップの写真
透湿防水シート(タイベック)

1次防水で防げなかった雨水を2次防水で防ぐという複層にて雨漏りしないようにしています。

木造建築は基本的にこの1次防水と2次防水の2層構造で雨漏り対策をしています。

しかし、1次防水に何かしらの隙間や問題が発生し、2次防水面に侵入した雨水が2次防水面の弱い部分若しくは、

防水面の劣化した部分より建物内部に侵入をする。

これが雨漏りとなります。

大体天井や壁に症状が出る事が多いです。

1次防水側の原因

屋根の場合

瓦の場合、各部瓦のズレ・乱れ・崩れにより侵入する事があります。

コロニアルの場合、スレートの割れ、塗替え後の縁切りをしない事での逃げ道がない事、棟板金のめくれ等。

板金の場合、平葺(一文字葺き)の場合は重ねを潰し過ぎでの吸い上げ、劣化による穴等。

全部に言える事ですが、棟や谷・下屋・パラペット・笠木等の取合い部分の処理等がいえます。

外壁の場合

サイディングの場合、パネルの割れやジョイント部のコーキング(シーリング)の劣化。

モルタル塗装の場合、塗装面・モルタル面のクラック(割れ)や塗膜劣化。

1次防水面で絶対に入らないようしたい所ですが、

屋根の吹上げによる侵入や、無機系の吸い込みのある外壁材の場合は避けられない為、2次防水に期待をする事となります。

2次防水側の原因

屋根の場合

ルーフィングの重ね幅や、立上げ高さ不足、屋根勾配に合わせた材料選定、いり込んだ部分の処理等。

外壁の場合

フェルトや透湿防水シートの重ね、タワミ・シワ、タッカーの打ち込み過多、いり込んだ部分の処理等。

共通していえる事は、水は上から下に流れるので、必ずシートは下から貼っていき、シートの重ね幅を守る。

そして、いり込んだ部分は補強を必ずするという事。

建物は必ず出っ張っている所、引っ込んでいる所があります。

シートを折ったり・重ねたりして建物全部を包んでいくわけですが、面や線を包むことは簡単ですが、点(角)となる部分を防ぐのは中々難しいです。

角からの雨水の侵入を防止する措置の方法
角部ピンホール対策

ですので、その部分を的確に補強する事が非常に重要になっていきます。

予防と対策

新築時から住み始め、10年以内場合は外部修繕をまだしていないでしょうから、雨漏り自体を予防する事は、住まう人にとって難しいです。

その場合はやはり施工者による所が非常に大きい為、施工時に施工者が如何に雨漏りしないか考えて処理をしていくかになります。

そして保証期間の10年を過ぎてからは、住まわれる方の手によるメンテナンスとなっていきます。

10年経過からの塗替え等は、美観の観点もありますが、雨漏りしにくいようにする目的も大きな割合であるのです。

確かに10年・20年過ぎてメンテナンスをしなくても雨漏りも何も発生しない事もよくあります。

それは施工者が良い施工をした事や、立地条件が良い方に重なった等、たまたまと言っても過言ではありません。

脅かすつもりではありませんが、実は見えない部分で浸食・腐朽が進行していたという事も少なくありません。

雨漏りで普及してしまった木材の写真
雨漏り腐朽の一例

建物全体の塗替え等のメンテナンスは安い金額ではない為、一旦状況を見てもらう・点検をしてもらうなどを検討する事も良いと思います。

条件によりますが、10年経過してもまだ数年様子を見ても良いだろうというケースは結構あります。

若しくは一番やらないといけない部分のみ対応して、それ以外は数年様子を見てからというパターンも有りだと思います。

ですので、一度専門の人に見てもらう事を考えてみると良いかもしれません。

施工者の考えとして、現場で一生物の一点物として造り上げられる住宅ですから、絶対に雨漏りしない建物にと考えます。

ですので本来NGとされる防水紙の順番が違うや、入り込んだ部分を補強しないなどは以ての外です。

しかしどんなに気を付けて造り込んでも、予期せぬ原因で雨漏りする事が残念ながらあります。

それらの過去の経験を積み上げる事で、より雨漏りしにくい建物にするべく努力をしている業者が殆どだと思います。

次はバルコニー・窓の雨漏りに関して書きたいと思います。

以上、グロウクラフト 片倉でした。