RC造① 型枠工事
以前、鉄筋やコンクリートに関して、色々と注意事項が多いと書きましたので、それらを交えてRC造の施工について書きたいと思います。
鉄筋コンクリート
最初に、RC造とは鉄筋コンクリート構造の事で、Reinforced Concreteの頭文字からRCと略されています。
では、なぜ鉄筋とコンクリートの2種類の材料を使用しているかになりますが、
鉄筋は【圧縮に弱く引っ張りの力には強いが、熱に弱い】という特性があり、
コンクリートは【引っ張りに弱いが圧縮に強く、熱にも強い】という特性があります。
これらから、共に互いの短所を補い合う事で強固な構造体となっているのです。
ですので、木造や鉄骨に比べると、高級な構造体と言われています。
3つの工事
RC造では、大きく3つの工事が関わってきます。
鉄筋工事とコンクリート工事、そして今回の本題になる型枠工事になります。
型枠とは、流動性のあるコンクリートを流し込むための型の事です。
コンクリートを打設(流し込む)した際に、漏れない、側圧によるパンクををしない、
そしてコンクリートが硬化し、強度が発現するまで型を保持するための機能を持たせます。
型枠の名称
型枠の各部の名称ですが、以下の図のようになります。
図には色々書かれていますが、型枠には大きく分けて4つの構成材料があります。
【せき板(型枠)】
型を作る為の合板の事で、コンパネや打放し化粧仕上げ用のパネコート、鋼製枠やFRP製等があります。
【セパレーター】【フォームタイ】
セパレーターはせき板同士の幅を固定する棒状のもので、端部にはPコンを使用します。化粧で見えない部分には座金と呼ばれる六角形のワッシャーのようなものを使用します。セパ棒とPコンを合わせてセパレーターと呼びます。
フォームタイは、せき板から飛び出たセパレーターのネジ山に取付、そしてフォームタイとせき板の間にパイプや桟木を入れて締め付け固めます。
【パイプサポート】
型枠支保工と呼ばれるもので、梁やスラブ枠を支えるのに使用します。
実際の写真も合わせた方がわかりやすいかと思いますので、下に2枚用意しました。
側圧
型枠の必須機能に側圧に耐えるという事を上で書きましたが、
側圧とは字の通りで、型枠側面(壁・柱・梁側面)に掛る力の事になります。
その側圧に耐えれるようにするため、型枠材料・セパレーター+フォームタイの位置決め・パイプとチェーンでの固めが重要になります。
そして施工条件で側圧の影響が変わってきます。
- 打ち込み速さが早いと、側圧は大きくなります。
- コンクリート温度が高いと、側圧は小さくなります。
- バイブレーターで突き固める程、側圧は大きくなります。
- 打ち込み時に高い所から落下させる程、側圧は大きくなります。
- 鉄筋量が多いほど、側圧は小さくなります。
- セメントの種類が早強の物ほど、側圧は小さくなります。
このような感じで、影響が出てきますので、出来る限り側圧が小さくなるように調整する事が望ましいです。
脱枠
コンクリートが固まったら、型枠の取外しをします。
取外しにも決まり事があり、基礎・梁の側面・柱・壁の型枠はコンクリート圧縮強度が5N/㎟以上になった場合や、
気温が20度以上であれば2~5日、10度~20度の場合は3~8日等があります。(日数の幅はコンクリートの種類による)
経験上ですが、コンクリート自体の強度は比較的早く出てくれます。
但し、上記の型枠の取外しの際、梁底や床板を支えている型枠やパイプサポートは絶対に取ってはいけません。
通常4週(28日)はそのまま支えておく必要があります。
Pコンマーク
Pコンですが、型枠を外したら一緒に取外しをします。
丸く穴になりますが、モルタルを詰めたり、専用の穴埋め製品を付けたりします。
本実型枠
最後に型枠での余談ですが、最近木目ついた打放し仕上げが多くなってきました。
杉板型枠とか、本実型枠(ほんさねかたわく)とか呼ばれたりします。
型枠に木目が移りやすい浮造りの板を使用し、その木目をコンクリートに転写する方法になります。
大体杉を使用しますが、木目が粗い物の方が仕上がった時にアクセントになって良いですね。
以上、グロウクラフト 片倉でした。