家づくり④
昔の家は、造りがすべて確認できました。
いわゆる古民家と呼ばれるものですが、
柱は見えているし、梁や天井も見えていました。
今のように石膏ボードなどで囲っていなかったのです。
いわゆる「隠しごとのない家」だったのです。
昔の家は、大工さんや左官屋さんなどの高い専門技能を持った人だけで家を作っていたわけではありません。
家づくりの専門技能を持たない一般(素人さん)の人もたくさん参加していました。
例えば左官下地の小舞(コマイ)、屋根のカヤ葺きなどは、近所の人が手伝って仕上げました。
見える部分の大半は専門技術の持っている人が仕上げ、見えない部分は一般の人が手伝っていたわけです。
重要な骨組み部分の梁や柱は大工さんが専門技術で仕上げ、
壁などの仕上げ部分は左官屋さんが行い、この2業種でほぼできていました。
このようなことから「隠しごとのない家」が完成したのです。
又、昔の家には大きな特徴があります。
それは自然とのやりとりに長けているという事です。
自然は気まぐれで凶暴です。
まともに立ち向かえば人間などは吹き飛ばされてしまいます。
そこで昔の家は自然とまともに対抗しようとしていませんでした。
雨に対しては深い軒を設ける事で雨漏りしないように対処します。
そして深い軒は夏の照りつける日差しも遮ってくれます。
しかし、冬の日差しは遮らないようになっていますので、昔の家はよくできています。
縁側も機能的で、冬に日差しを取り入れて障子を閉めれば冷気を室内に伝えないための断熱エリアになります。
昔の家は自然の力を取り入れたり、逃がしたりしたりする知恵に長けているのです。
これが長持ちをした理由の1つです。