家づくり⑤

ここまでは昔の家づくりを勉強しましたが、学ぶべき良い所があったのではないでしょうか。

では、今の家づくりはどうなっているのでしょうか?

まず、昔の家との大きく異なる事は、今は誰もが家を建てられる時代だということです。

親の世代は親の世代で家を建て、子供の世代はまた独自に家を建てる事が普通になっています。

もちろん、2世代住宅ということもあるでしょうが、それも子供の代で新たに家を建てるという点では同じです。

1代で築いた財産だけで建てるわけですから、家づくりにかけられる費用もおのずと限界があります。

良い家にするにはお金はないよりもあったほうがいいのは言うまでもありません。

今の人はせっかちな方が増えたと思われます。

転勤や子供の入学といった生活の変化にあわせて家を建てたがります。

家を建てたいと思ってから半年後には新しい家に住んでいたりします。

そして、今の人は家を建てるのではなく、「家を買う」という言い方をするかたも多いです。

こうした言い方に違和感を覚えない人も多いでしょう。

この「家を買う」と言う言葉は、実は大きな変化を含んでいます。

「買う」わけですから、対象になるのは当然、商品です。

商品ということは「買う」時点でそれが完成しています。

つまり、家は自分にあったものをしつらえるのではなく、要望に近い完成品を探す物になったのです。

大げさに言えば自動車や、つるしのスーツを買うような形で決められているのが今の家といえます。

当然、家を建てる側も考えがかわってきました。

住まい手にあわせて家を作るのではなく、効率よく作りたいという作る側の理論が表に出たからです。

現在の注文住宅はこのせめぎ合いだと思います。

もちろん、建売住宅などは作る側の効率を追求する傾向にあります。

すべてが悪いと思いませんが、注文で建てるのなら家を商品として買うのではなく、

家は建てるものだと考えることが大切だと思います。