家づくり⑧

工業製品風に住宅を造る事で、日本の伝統的な家の造り方は衰退してしまいました。

時代の流れでもあるので、正直致し方無いものではあります。

実際、私が携わってきた新築住宅でも伝統的な造りをしていた建物はごく少数で、

増築・リフォームで伝統的な家の造りに携わるケースが殆どでした。

ただ危惧される事とすれば、伝統的な技法の建物に対応できる人が少なくなっている事です。

ただでさえ職人不足が騒がれている中で、技術まで不足してしまう事態に成り兼ねません。

この問題は実際に建築業界で騒がれ、問題となっている事でもあります。

増築・リフォームの話を上げたのでついでに。

今の家は増改築がとてもやりにくい事が多いです。

まず2×4工法の住宅は壁自体が構造体となる建物ですので、

増築時やリフォーム時に壁を無くすという事が簡単ではありません。

構造計算を行い、問題が無いという結果や、新たに補強壁(耐力壁)を作るという事を確認する必要があります。

では在来工法はどうかと言うと、今の家の間取りは昔の家と違い細かく仕切られています。

大きな部材を使用せず細い部材で構成されているのです。

つまり、細い部材を面材が補って地震や風害に耐えるようになっているのです。

そのため動かせない壁が多く設定されています。

こちらも、増築時やリフォーム時に壁を無くしたいといった場合、確認をする必要がありますが、

2×4工法に比べると後からでも補強がしやすい構造的な利点はあります。

日本の昔の家は50年~100年、ヨーロッパなどは200年、300年の家が多く残っています。

ヨーロッパなどの建物は石造であったりといったこともあるので、元々の耐用年数が長い傾向があり、

日本の主流の木造と同じに考える事はナンセンスではありますが、

せめて昔の家のように3世代が住む家というと、やはり100年は建物が持たないといけません。

日本での住宅を取り壊す平均は築20年程といわれており、

対策として長期優良住宅の基準を設け、スクラップビルドを極力減らそうと国が方針を決め進めています。

その他、省エネが取り沙汰され、住宅の気密化、高断熱化や、

設備として家庭用燃料電池、太陽光発電、蓄電池設備など色々な省エネを目的としたものが多くなってきています。

様々な工法・商品・製品が世にあり、各々メリットのみ大きく打ち出し、

デメリットは隠されている事が殆どです。(これは建築業界に限った話ではないでしょうが。)

このデメリットを見てみると、意外と穴になっている事が多く、

よく考えないといけないケースがよくあります。